先日、友人から、

「満月が近づくと、気持ちが落ち着かなくなったり、感情的になったり、調子が悪くなる人がいるんだよー」

 と教えられた。

 そういえば、オオカミ男も満月だ。なるほど、人間は、満月を見ると、気持ちが高揚するのかもしれない。

 と思ったけれど、実際にはちょっと違った。

 化学的には立証されていないけれど、月の満ち欠けが潮の満ち引きを引き起こすように、体の大半が水分で構成されている人間にも、なんらかの影響が起こる可能性は十分にあるそうな。


 私の場合、これまで気にしたことがないので、自分が当てはまっているかどうかはわからない。

「なるほど~」

 と思いながら家に帰ると、どことなく機嫌の悪いダンナがいた。

「おっ!満月だ!」

 話しを聞いた直後だったので、妙に納得した。


 普段は明るいダンナだけれど、機嫌が悪いときの彼は、できれば気絶していたいくらい恐ろしい。

 ものすご~く機嫌の悪いときは、私のちょっとした動きにもピクリと反応する。

 トイレへ行こうと立ち上がると、ギロリとにらまれる。にらまれる心当たりはもちろんない。


 彼は単に機嫌が悪いわけではない。

 彼は本来めちゃめちゃ明るい人だと思う。けれでも、これまでの人生で、あまりにも多くの不幸に見舞われてきた。

 怒りと悲しみの中にいる時間の方が長かったけれど、少しずつ、明るい気持ちでいる時間が増えている。

 以前は彼の怒りを理解できず、


「なんで怒られなあかんねんっ!」

 と、腹を立てているダンナに腹を立てていた。今でも腹が立つことはある。


 それでも、沸々とした怒りをコントロールできないくらい、彼の人生には、悲いことや、苦しいことが山積みだったのだ。と思うと、彼の態度に腹を立てるのではなく、そのような怒りを持たずに生きていられる、自分の人生に感謝するべきなんだということがわかってくる。
  
 この国で、黒人男子として生まれた時点で、誰もがジョージ・フロイド氏になる可能性がある。さらに、仕事もなく、お金もなく、食べ物もなく、親もいない可能性も十分あり得る。彼ら黒人男子は、常に、恐怖と怒りの中で生きている。

 もし彼の人生と私の人生を交換したら・・・と考えたら、私なら気が狂っているかもしれない。そう思うと、たまーに沸々とした怒りに押しつぶされそうになっても、酒も飲まず、コケイン中毒にもならず、ギャングにも犯罪者にもならず、生き抜いてきたダンナは、私なんかよりもずっとずっと精神が強いのである。


 そして、機嫌は悪いけれど、彼は私に怒っているわけではない。私に怒っているわけではないけれど、イライラ中は、何をしても彼のイライラを増長してしまう。

 茶碗を洗えば、そのノイズにイライライライラ。そーっと洗おうとすればするほど、茶碗やコップを落としてしまうのは、なぜだろう?

「なんでそんなに音立るんじゃーーーーーっっっ!!!」

 ギロリと愛のない目でにらまれる。

 部屋は狭いし、ダンナは大きいし、その威圧感は尋常ではない。

「気にしない気にしない気にしない・・・・私に怒ってるわけじゃない・・・気にしない気にしない気にしない」

 と言い聞かせる。


 といっても、このような状況は、貧しい黒人家庭では普通なのかもしれないと、あるとき気が付いた。

 日本の中流家庭で、両親や祖父母、親戚に囲まれて育った時点で、私の環境は、ダンナのそれとはかけ離れている。さらに、私には男兄弟がいなかった。家にいる男性は父だけだったので、私は不愛想な受け答えをする男に、実は慣れていなかった。

 私が育った環境にはなかったけれど、ダンナの周りには、怒っている人が、いっぱいいたんだろうなぁ。

 実際、ダンナの怒りをさらりと受け流していると、怒りから解放されたダンナが、普通に話しかけてくる。私もしんどいけれど、解放されるまでは、ダンナの方が苦しいに違いない。

 彼ら男性の怒りを理解している黒人の母親やワイフなら、見て見ぬふりをしているに違いない。私は、彼が自分に怒っていると勘違いして、

「何もしてないのに、なんで怒られなあかんねんっ!!!」

 と思っていたけれど、それは大間違いなのである。

 私は無駄に考えすぎて、腹を立てたり、心配しすぎていたのかもしれないぞ。



 そして満月だ!!!

 月の満ち欠けが、ダンナの心を乱している可能性があったのだ!これは、ダンナのせいではない。月のせいだったんだー!

 と思ったけれど、もしかしたら、私も満月の影響を受けていたのかも。

 ダンナだけがイライラしているように書いてきたけれど、私だってイライラすることはある。

 満月が近付くと、ダンナがイライラして、そんなダンナに私もイライラする。そして、イライラする私に、ダンナはもっとイライラする。

 もしかしたら、私が先にイライラしている可能性もある。

 なるほど~。新しい発見だぁ。


 満月、狼男といえば、やっぱりマイケル君のスリラーしかない。


 MMジャーナル第35回は、アリサ・フランクリンとジェニファー・ハドソンについて書いています。ディフェンダー・ニュースからリンクしておりますので、こちらからご覧ください!

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